最も安全で、快適
「おっはよー」
「あ、夏目さん」
週始めの月曜日。午前七時十五分。今ではすっかり見慣れた顔が図書室に現れる。
「今日のバリケード、昨日より複雑だったね。どっかいじった?」
「あ、はい。上に積んであるイスを増やして、全体的に距離を長くしました」
「やっぱり」
出会いは突然だった。普通なら諦めるであろう入口のバリケードを彼が掻い潜ってきたのだ。
さすがに驚いた。私以外であれを突破したのは彼が初めてだからだ。
多くの不良がこの石矢魔に通うなか、彼はあまり不良っぽくない人だった。
「そんな面倒臭いことするなら転校すればいいのに」
「それこそ面倒じゃないですか。ここは登校届だしたら出席にしてくれるんで」
正直普通の学校より楽でいい。学校行って好きなことやって帰る。最高だ。
難点は学校の不良達にいかに見つからずに登校できるかだ。
「でもそれじゃ友達できないでしょ。あ、今度俺の友達連れてくるよ」
「その人温厚ですか?」
「う―ん、まあヨーグルッチがあったら大丈夫だと思うよ」
…なんでヨーグルッチ?