treat


「トリート オア トリート!」

「…………はい?」

目の前に差し出された手は紛れも無くクラスメイトのもの。その顔には満面の笑みがあって。

「それどっちも同じじゃないかねぇ」

「平介にいたずらは効かなそう」

いやいや過去に1人ケーキ略奪食い事件起こした人いましたけど。さすがにあれはこたえたよ。
まあでもまたあんなことあっても困るしな…

そう考えれば菓子をやる方が平和か。

「確か佐藤から貰った飴が…」

「ダメ」

「は」

「飴、ダメ」

何この子飴嫌いなの。美味しいのに、もったいない。

「じゃあ、おばさんに貰ったチョコを…」

「それもダメ」

「先輩から貰った…」

「ダメ」

「鈴木の…」

「ダメ」

どーすりゃいいの。ずっとダメの一点張りなんだけど。あきくんだってここまで手間かからないのに。

「…がいい」

「うん?」

「平介の作ったお菓子がいい」

ああ、そういうこと。渡そうとしたのが全部市販品だったからってこと。なるほどなるほど。
うーん、でも

「今日は何も持ってきてないんだ」

ごめん、と素直に謝ったときの哀愁に満ちた顔は佐藤のものと似たものを感じる。

さて、どうしたものか。

「……明日でも良いなら」

「?」

「明日でも良いなら持って来るよ、お菓子」

リクエストとかあったら聞いとくけど。と話す間に表情から哀愁は消えて目に見えて輝きだした。




ハロウィンなんて口実
(じゃあミートパイ!)
((…ハロウィン要素はどこへ))





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