本気の恋はやめよう



「告白しねえの?」

赤毛の彼に問われた疑問。誰に、なんて愚問だった。

「…無理よ」

今この場に当事者はいない。金眼の少年と買い出しに行ってる。

有髪僧に関しては興味すら持っていないようで、新聞から目を逸さない。

「答えなんてわかりきってる」

「いやぁ、意外といけるかもよ?」

それは慰めなのか、単に面白がっているのか。
どちらにしても私の答えは変わらない。

「……叶えたくねえの?」

「叶わないって知っててやってることだから」


叶えたい云々じゃない。そう返しても納得できないようで、悟浄の眉間は寄ったまま。

「わっかんねえな―」

「ふん、貴様には一生理解できんだろうな」

「んだと、この生ぐさ坊主!!」

「あ"あ"!?」

…また始まった。この二人まともに会話したことあるんだろうか。

「たっだいま―!」

「…悟空、あんこあんこ」

口の横を指しながら指摘したら、やべって言った。また内緒で何か食べたな。

「大丈夫ですよ、悟空。二人ともまだ気付いてませんから。」

――ああ

「…おかえり、八戒」

「はい。ただいま」


頭に触れる大きな手が語る言葉が優しくて、錯覚してしまいそう。






(だって不毛だ)
(彼には愛しい人がいるのに)


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