誤魔化す
「慶次」
「おっ、どうした楓!何持ってんだ?」
「1年間分の飴」
ちょうどお腹が空いてたらしい。紙袋の中身が食べ物だとわかるや否や目を輝かせた。
「くれんのか!?」
「食べきれないから」
慶次は甘いものが好きだ。もっと言うと食べ物はなんでも好き。今でもたまにうちにご飯食べに来るけど残飯を見たことがない。
「なんだこれ・・・ポン酢味?」
「あ、ハズレ」
ポン酢か…そういえば醤油味もあったな。味が濃すぎて途中で断念したけど。
「・・・何してるの?」
気付けば慶次は携帯を片手に何かしていた。メール、かな?
「ん?いやあ、この量二人で食べるにはもったいないだろ?助っ人を呼んでんだ」
「助っ人?」
「楓もよく知ってるやつだよ」
誰だろ。私と慶次の知り合いで甘党の人いたかな。
「慶次殿ォオオオ!」
「え、真田くん?」
読んで字の如く。教室に飛び込んできたのは恋焦がれたあの人で。
「おお山下殿!きゃんでぃをわけてくれるというのは真か!?」
「あ、うん」
彼の表情が目に見えてキラキラしてる。
そういえば甘いものが好きだって言ってたな。佐助くんが。
「・・・慶次」
「ん?」
「あとは真田くんと仲良くわけて」
その場を急いで立ち去った。だってまともに顔見れない。
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