舐める
半年前に応募した懸賞が当たっていた、らしい。全然覚えがないけど郵便物が届いたからそうなんだろう。
「・・・どうしよう」
飴玉1年分。味はチョコのようなスタンダードなものからドリアンみたいなよくわからないやつまで様々。
「・・・何だそれは」
「あ、元就くん。・・・いる?」
毛利元就くん。図書室に通っているうちに親睦が深まった(と思いたい)。
「貴様は我がそんなものを欲するとでも思っているのか」
言葉は率直で厳しい。がその中に彼なりの優しさが(たまに)ある。
「集中力を高める柑橘系とか」
「そんなものに頼るまでもないわ」
元就くんは今日もなかなかシビアです。
「・・・他、あたってくる」
「待て」
後ろから肩を掴まれた。強引ではなくて、ただ呼び止めるだけに触れた感じ。
「いらぬとは言っておらぬだろう」
貰ってくれるらしい。やっぱり元就くん優しいなあ。
「じゃあ、おすすめの蜜柑味」
1こだけなのもなんだかなあと思って5、6こまとめてあげた。
「ありがとう」
「・・・ふん」
残り350とちょっと。自分の口にひとつ、放り込む。
仕方ない。あんまり行きたくないけど、知り合いの中で一番たくさん貰ってくれる人に頼ろう。
「今日来てるのかな・・・慶次」
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