照れる
恋をしています。いつも食堂に来る彼に。
一日二言、交わせば良い方。三言以上は未だない。
「デイリーランチDXください」
「相変わらずよく食べるねぇ楓ちゃん」
「・・・どうも」
この学校には食堂が二つある。一つは学校の創立からある品数が少なくてこじんまりした食堂。もう一つは最近新設された食堂。広くて品数も豊富故に多くの生徒が利用している。
古い方の食堂は生徒の佐助君が運営してる。利用する学生があまりに少ないから自分からかってでたらしい。
「はい、今日のデイリーランチDX。照り焼きチキンとポテトサラダ、味噌汁、漬物にデザートの特大プリン」
ごちゃっと置かれたお盆の料理は相変わらずどれも美味しそう。
「あ、それから・・・」
お盆を持って行こうとする前に佐助君は小さく囁いた。
「今日も来るよ。楓ちゃんの想い人」
顔の熱が一気に上昇したのがわかった。危うくお盆をひっくり返すところだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・そう」
「楓ちゃん顔真っ赤だよ」
「うるさ「佐助――――!」
体が音をたてて硬直した。入口から響いた声のせいだ。
「いらっしゃい、旦那」
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