「Hey,boy!随分暴れまわってくれたらしいじゃねぇか」
目の前には大人が2人。青い装束と顔に傷。どっちも武士だ。刀持ってるし。
「ああ!もしかしてもしかしなくても奥州筆頭伊達政宗殿じゃないですか」
「へぇ、俺を知ってんのか」
「異国語を好む風変わりな青い武将は有名だからね」
なあ?とシロに語りかけるが相棒は未だ警戒を解かず。さすがの僕でもむき出しの牙は怖い。
「戯言はいい。覚悟はできてんだろうな」
「覚悟?はて、何に対しての覚悟でしょう?」
「ああ"!?てめえ、まさか今までやってきたこと全部素っ惚けるわけじゃねえだろうなあ!?」
「Oh…焦り過ぎだ小十郎。少し落ち着け」
顔に傷のある人は小十郎と言うらしい。まあ普通に考えて筆頭の部下だろうなあ。しかもかなり信頼性の強い。
「生憎だけど、まだ捕まる気はないよ」
場が緊張感に覆われた。敵前で"逃げ"を宣告したから当たり前っちゃあ当たり前なんだけど。
「…お前なんでそこまで武士が憎いんだ」
「憎い?僕らは何も彼らが憎くて泥棒してるわけじゃない」
「Ah?どういう意味だ」
「盗みに理由なんていらない。盗みたいから盗むんだ」
ま、だからって私欲でやってるわけじゃないけど。
2人の表情が歪んだ。よほど気に入らない答えだったらしい。
「…I see。わかったぜ。小十郎の話じゃ義賊だっつーから期待してたんだかな…どうやら俺の勘違いだったようだ」
伊達政宗が己の腰にある、6つの刀に触れた。
「てめぇはここで斬る」
さあ鬼ごっこの始まりだ。