空が雲に覆われて
明かりの滞った夜
駆け抜けるのは、赤と白
「いや〜良い仕事だった」
まさかあんな古倉庫にこんな値打ち物があるとはね。下調べの時に怪しいなとは思ったけど。
「さすがって言うべきなのかな」
あそこが不正に金を稼いでるのは有名な話。
ここ奥州に住んでる人なら誰でも知ってた。
ちょっと聞き込んだだけで入ってくる情報は多い。
「村人の方がそういう情報聡いもんなー」
っつーか上の奴等は知ってんのかな。誰だったっけ、奥州治めてるの。確かだ…だ…
「うわっ、どしたシロ」
目の前を走ってた相棒が急に立ち止まった。
体を低く身構え、牙をむき出しに唸って何かを威嚇している。
何を?
相棒の視線の先を辿る。
雲間の月明りに照らされて
現れたのは、青