時は戦国。

力ある者が天下統一を目指した時代。

奥州の水面下ではある噂が広まりつつあった。






「Ah―?盗み?」


奥州米沢城。城主である伊達政宗は己の右腕とも言える部下、片倉小十郎からの報告を聞いていた。


「はい。武家ばかりを狙ったものらしく、これまでも3件報告されています。今下の者に犯人を捜索させていますが、被害にあった家はどこも評判があまり良くなかったので怨恨の線からは難しいかと」


手掛かりが少ないうえ目撃情報もない。男か女かすらもわからない。


「はっ!義賊ってわけか、おもしれえ!」

武士が襲われているこの状況を楽しんでいるともとれる表情。


否、実際楽しんでいるのだが。


「放っておけ小十郎。自業自得だ」


「しかし政宗様、このまま何の処置も取らなければ下の者も不満が募るかと」


それでなくても既に被害にあった者たちは犯人を捕らえようと躍起になっているのだ。


「Ah…いずれは暴動も起きかねねぇな」


顎に手を添えて目を閉じる。考える素振りをみせたのは一瞬。



開かれた双眸には強い意志が宿っていた。


「今夜狩る。他のやつらには知らせんな。盗人如きに人手はいらねぇ」


「はっ!」




今宵、2匹の竜が舞う。






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