あらためて



「じゃあ、名前、職業、趣味、好きなもの、嫌いなもの、言ってみようか。はい、六道君から!」

グリンピースだらけの炒飯を頬張りながら目の前の六道君に問いかける。
気分はさながら番組司会者。

「食べるか喋るかどちらかにしたらどうですか」
あれ、流された!?まさかのスルー!

「(モグモグ、ゴックン)スルーしないで!大事なことなんだから!」

「僕の名前は知ってるんだから必要ないでしょう?」

確かに名前は知ってるけど、言い換えれば名前しか知らないよ。

もっと積極的に交流深めてくれないものか。よぅし、こうなったら最後の手段だ。

「…教えてくれなかったら今度からむっくんって呼ぶよ」

「……何が知りたいんですか」

チョロいな。

「まず名前…はもういいか。じゃあ職業!」

「学生」

「趣味は?」

「特にありません」

「好きなもの」

「さあ」

「嫌いなもの」

「知ってどうするんですか」

「誕生日」

「内緒です」

「…六道君答える気ある?」

「はっ、あるわけないでしょう」

やっぱりね!どうりで素っ気無いと思ったよ!ちくしょう、結局名前と職業しかわかんなかった。

「学生って中学なんだよね」

「ええ」

「全然見えないよね。外見じゃわかんない」

「貴方は中身が子供ですからね」

…最近思うんだけど、六道君って一言多いよね。せっかくの美形なのにもったいない。そんなんじゃ紳士になれないぞ。

「…そういえば」

六道君が思い出したように呟く。顎に手を当てて物思いにふける様のなんと美しいことか!

「美形は何をやっても美形か…」

「何のことです?」

「いやこっちの話…で何?」

「名前、まだ聞いてません」

「名前…あたしの?」

ええ。と六道君は軽くうなづいた。

「そっか、まだ言ってなかったっけ。私は千里。吉川千里」

「ありきたりな名前ですねぇ」

「悪かったね」






(気軽に千里って呼んでいいから)
(…………)
(ちょっ、目を逸らすな)

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