迫られた選択
「選べ」
「おとなしく出ていくか、消えるかだ」
選択を迫られる。目の前にいるこの男を彼女は兄だと言った。
ならばこれは兄故の保護欲か。彼は、自分が妹を守らねばとでも思ってるのか。
ああ愚かで、滑稽だ。
「クフフフフ、浅ましいですね。そうやっていつも妹を守ってるつもりだったんですか」
「…何?」
「そうやって近付くもの全てを排除して守っているつもりですか。ただの過保護でしかない。あれを縛りつけてるのは貴方の方です」
「てめぇ…」
ああイライラする。この男と同じ空間にいるだけで気分が悪い。
「ご心配なく。貴方に言われずとも出て行くつもりですよ」
僕はまだ、死ぬわけにはいかない。
Arrivederci.
吉川千里