10年後の逢瀬







―――うわーん!




どうして、ないているのですか?



お、かあさんも……おとうさんもいなくて、ひとりでぇ………




きみはひとりじゃありませんよ。
ぼくもいます。




あなたも……?




そうです。ぼくもいます。

……きみのなまえは?




……十六夜…




十六夜ですか。いいなまえですね。




あなたのなまえは?




ぼくのなまえは……

それより、あのさきにあなたのおやがまってますよ。




……あのとびら?




えぇ、そうです。




…また、あいにくるね!




クフフ…まってますよ、十六夜……



















最近よく見る夢。


不思議な、10年前の記憶――





私は10年前、引っ越してきた日に迷子になった。



結局街外れの森の中で眠ってしまっていたのだけど、随分と不思議な夢だった。



広く美しい草原で、呑み込まれそうなほどだった。


私が一人で泣いていると、一人の少年が声をかけてきた。


独特の髪型と、左右違う色の瞳。



運命の人、なんて信じてないけど、あの子が私を導いてくれたことには変わらず、感謝している。



また、逢いたいな――

と、非現実的なことも考えるが、10年間あっていない。



私はどこかで諦めていた。

















10年前、クロームより前にただ一人だけ、僕の幻想世界に入ってきた女の子がいた。



僕と同じくらいの年のようだったが、涙のせいで年下にも見えた。



最初は泣いてた女の子―十六夜―は、一人じゃないと分かると嬉しそうにニコニコしていた。




この年の頃の僕は女の子をあまり見なかったし、笑えるような環境にもいなかったから、十六夜がただただ眩しかった。




彼女と別れた後も彼女を忘れたことはなかった。



彼女は僕の憧れだった。





――もう一度、逢いたい。

















ある日、母は私に隣町までお使いを押しつけた。



めんどくさいことこの上ない。



そう思いながら何気なく角を曲がると、誰かにぶつかってしまった。トートバッグがひっくり返る。



すみません、と言いながら一緒にカバンの中身を拾ってくれている相手をチラリと盗み見る。



『えっ!?』



思わず声を上げてしまった。相手は何事かと私を見た。



バチッと視線が交わる。


相手のオッドアイが見開かれた。


「……十六夜?」




やっぱり、この人だ。
そう思ったときには既に彼の腕の中。顔が紅く染まる。



「ずっと、ずっと逢いたかったんです。」



ぎゅっと抱き締める腕に力が入る。私もそっと抱き返す。



『私も。…あの時からずっと。』



「もう、迷子にならないで下さいね、十六夜。」



『あ、当たり前です!』




いつまでも傍にいます



(あ、あの…名前聞いてもいいですか?)
(……知らなかったんですか?)
(だってあの時……)
(クフフ…僕の名前は六道骸です)(……大好きです、骸さん!)


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