Dコンビと委員長
「あー!もう!あっついな!!」
「やいやいいいなや岳人。夏やねんからしゃあないやろ?」
「そーだけど!くそくそなんで朝からこんなあちーんだよ!」
「がまんしい。校内はクーラー効いてんねんから」
本当の地獄は部活動時だ。初夏のうちは雨でも降らない限り室内メニューにはならないだろう。
「くっそ!早く冬来ねーかなー!」
「こないだまで寒い言うてたくせに」
実に単純な男である。
「冷凍ビーム!!」
「ぎゃあああああああ!!」
岳人の後ろから突然現れた人物は、その背中にCoolと書かれたスプレー缶を向けた。
「なんや、委員長やん。おはようさん」
「あ、忍足くんおはよー」
「待て待て待て待て!!」
「なんだよ向日、涼しかったっしょ?」
「くそくそ委員長!いきなりスプレーかけんなよ!冷たすぎて逆に心臓に悪ぃだろ!?」
「あ、忍足くんもしようか?」
「おおきに。ちょうど暑かってん」
「聞けよ!」
スプレーをかけてきたのは岳人のクラスの委員長。夏バテ対策で登校してきた生徒を無差別にやってるらしい。
「仕事熱心なんもええけど、あんま驚かしたらあかんで?岳人みたいなビビりもおるからなあ」
「うん、気を付ける」
「誰がビビりだ!」
「あ、さっき生徒会長にもやってきたんだー」
「跡部にも?」
「『スポーツ用とはまた別なのか…おい委員長!どこでこいつを手に入れた!』って。スーパーの夏バテ対策コーナーだよって言っといたから買い占めたんじゃないかな」
「跡部にまですっかりあだ名しみついとんなー」
「いやー今じゃもう私の名前知ってる人の方が稀だなー」
ははははは、なんて笑う2人の、頭1つ分下で岳人はついに叫んだ。
「俺を無視すんなあああああああ!!」