収穫
臭いには敏感だ。戦になればいやでも血肉の焼ける臭いをかぐ。決して良いものとはは言いがたいが。
故に少女追いかけてすぐ、異変には気が付いた。
「ほぅ…」
小さな村が、燃えている。村人らしき人間の死体も多い。
大方、武士に襲われでもしたのだろう。戦った形跡がある。
まあ、別段驚くことでもあるまい。今の時世こんなことはどこでも起きてる。
「…おや?」
ふと目に入った小さな影。
それは村の中を駆け回り、やがてひとつの燃えているボロ屋の前で立ち止まったかと思うと、炎に臆することなく中に入っていった。
直後、崩れる家。
もし、今の影が先ほどの少女であったのならば…
「見殺しにするには惜しい、か」
名もない村から1人の少女が消えた。
それに気付いた者はいない。
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