捜索


寒い…。

あれからどのくらい時間がすぎたんだろう。

お日様はもうすっかり沈んで辺りは真っ暗になった。今は星の光だけが唯一の明かり。
昼間は慌ただしかった城内も今は静寂。

眠い…。
怪我のせい、かな。すごく眠い。

少しずつ、少しずつ、瞼が下りてくる。

このまま目を閉じたら


「死んじゃうかな…」


ポツリと呟いた声は夜の闇に消えた。











ある村で少女を拾った。武士に村を焼かれたせいでその身以外の全てを無くした少女。


同情したわけではない。ただ興味がわいただけだ。少女の魅せた力に。

吐息で花が甦るその力を、少女は何故か隠したがった。城に連れて帰り面倒をみても知らないの一点張り。

せっかくの力を何故そこまで隠したがるのか…理解に苦しむものだ。



その少女が脱走したと聞いたのは日が沈んだ頃。女中総出で探し回ったらしいがまだ見つからないそうだ。


「風魔」


伝説と謳われる忍。姿は見えずとも気配は近い。


「聞こえていたのだろう?…行け」


潜んでいた気配が消えた。







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