最近噂で耳にしたのだが、どうやらルナに好きな人ができたらしい。
始めの方は、下っ端達がコソコソと話しているだけだったからあまり気にかけてはいなかったのだが。
その事を意識し始めるようになったのは、あの一言を言われてからだった。
丁度、三日前―――…
任務から帰ったわたしは、廊下でジュピターに出くわした。
またからかわれるのが嫌だったので直ぐに立ち去ろうとしたのだが、呼び止められたので仕方なく立ち止まった。
「あの噂、知ってるでしょ?」
『あの噂』と言われて、ルナの事だと直感した。
「あぁ、知っているが…。それがどうかしたのか?」
するとジュピターは呆れたような顔をして言った。
「どうかしたのか?じゃないわよ。あんた、ルナに彼氏とか出来ても大丈夫なの?」
―――…
わたしはあの時「別に問題はない」と答えてしまったが
後からよく考えてみると、結構気にしているという事が分かった。
「(ルナに彼氏か…)」
別にわたしは、ルナの兄でもなければ両親でもない。
本当の事を言ってしまえば自分にはなんの関係も無い事だ。
でも心の何処かに引っかかってしまって、いまいち切り離す事が出来ないでいた。
「最近、サターン様もぼーっとしているわよね…」
そんな下っ端達の話ではっと我に返る。
確かに最近ずっとこんな状態だ。
暇があればこの事を考え、何故か悩む。
大体、あの噂が本当である証拠は何処にも無い。
しっかり、しなくては…
たとえこれが本当だとしてもルナが決めた事なら、見守ってやりたい。
…そう思った。
今はただ…
(まず、聞き込みから)(少しいいか?)
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