何時からだっただろうか。
 赤い服を身に纏った君は、何故だかとても眩しく見えた。


 下っ端から新しいレンジャーの情報が入りケイノと共に直々に偵察に来たところだった。
 それが君を初めて知った日。





 「ちょっとアイス、」

 エルレイド達に視線を向けていた俺の肩を思いっきりどつく。
 この女はもう少し手加減というものが出来ないのだろうか。
 痛む肩を抑えながら渋々ケイノの言うことに耳を貸す。




 「なんだ、ケイノ」

 「見なさいよ。新人レンジャーって女じゃない!」


 ケイノにぐいっと頭を押され、岩陰から姿を見ると真新しい隊服を着た女レンジャーがいた。
 



 「女か。俺たちの厄介にもなりそうにないな」

 「ふふっ、そうね…」


 だが何故だろう。あの時見た笑顔が張り付いて離れなくて
 俺はどれだけもどかしかったか。






 ◇







 「確か、アイス…?とか言いましたっけ」

 「覚えていて貰えるとは光栄だな」


 分かる。ポケモン達が彼女に着いて行く理由が。自分たちのように無理やりではなく
 ポケモンの心を理解しようとする気持ち、温かさ。
 目の前に立っているルナは俺の操るエルレイドを心配そうに見つめている。
 俺の存在など全く気にしていないように。とても嫌だった、ポケモンに向けるような あの笑顔を自分にも見せて欲しかった。




 だけど俺とルナは敵同士。そんなことは到底無理だろう。
 俺の出したエルレイドはあっさり彼女にキャプチャされ、目線はしっかりと俺を捉える。


 「何であなたは、こんな酷いこと…」

 「なんで?理由なんて必要ないさ」

 マントを翻し、視線だけ後ろに送る。







 「またな、ドルナ」





 また、何て曖昧な
 (そんなの)(あるか分からないのに)

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