鼻にツンとくる、潮の香り。
空を見上げればキャモメの群れ。
そう、此処はナギサシティのビーチである。
前にミカンちゃんが「最近はカップルで訪れる人達が多いですよ」と
言っていたのを思い出して、思い切って誘ってみたのだ。
「むー暑いですねー」
ふとネジキに目をやると、またそんな事を呟いている。
それはそうだろう、容赦なくギラギラと照りつける日光の下で
いつも通りの長袖でいるのだから。
余計な事を考えて歩いていると、突然目の前がぐらつく。
「きゃあっ?!」
「ルナー危ないですよー」
そんなピンチを助けてくれたのはネジキで。
岩に付いている苔は滑るんでーと付け足す。
ちょっと生活的に馬鹿でもやっぱり彼氏だなぁ、と少々浮かれていた。
その後は釣りをやっているお兄さんに釣りを教えて貰ったり、展望台へ行ったりして楽しく過ごした。
私より一歩前を行くネジキ。色々な事を話してくれて、とても飽きなかった。
そしてポケモンいわを見に行く途中、悲劇は起こった。
「そもそもふしぎの…むぅ?」
話の方に意識を集中させ過ぎた為か、ネジキがうっかり乗っかったのは緑の苔が大量に付着した岩。
そして、みるみる内に水面へ落下していく彼。
どばっしゃーんっ。
「ネジキーーーーーっ!」
助けに行く余裕も無かった…。
(プクプクプク)(浮いて来ない?!)
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