隠忍自重――…
辛い事を我慢して、軽はずみな行動をしないこと。
前に本を読んで覚えた言葉だった。だがそれは今の僕の状況でもある。
「ネージーキーっ!」
そう言って僕の背中に飛びついてくるルナ。
「ルナー」
ストンと背中から下りて、僕を見上げてくる姿が可愛くて仕方が無い。
「ネジキ、ぎゅってして!」
僕は少し戸惑った。何故なら此処はファクトリーのロビーだからだ。
「むー。ルナー、此処では無理です」
「……」
するとルナはクルッと後ろを向いてしまった。もしかして怒らせた?
そう思い、不安になる。どうしたらいいものか。
「ルナー?」
取りあえず名前を呼んでみたら意外と素直に此方に向き直ったので少し驚いた。
「分かってるよ?でも…」
彼女は背伸びして僕の頬に口付けた。
後でちゃんとしてよね?
(ネジキ大好き!)(もー我慢できないかもー)
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