ジョウトに到着してから一時間経っただろうか。
 デパートなどもあり、がやがやと騒がしいトバリシティに比べて物静かでゆったりとした時間が
 流れているせいか、体内時計が狂ってしまったようだ。



 ひゅうっと冷たい風が吹き、紅葉が目の前に落ちてきてハッと我に返った時にはもう遅かった。

 「しまった…」


 ベンチから立ち上がり、辺りを見回す。前に続くは紅葉絨毯の道。
 ヤミカラスが一羽。焼けた塔に向かって飛んで行った。
 一体、ルナはどこへ行ってしまったのだろうか。しかも一人で。
 足音一つも聞き逃さないようにと視覚と聴覚に神経を集中させる。






 ◇






 さくり、落ち葉を踏み締める音が空しく響き渡った。
 もう紅葉が散る季節。それなりに気温も下がってきている。


 「あーあ…」

 チルタリスをモンスターボールから出して抱きつくと、もふもふしていて温かい。
 さて、これからどうしようか。夢中になってあちらこちら見て回っていたら
 後ろから着いて来てると思ったサターンはいないし。
 私だって一応女の子。薄暗い中、一人で歩いていたら勿論寂しい。


 足元を見ながら歩いていると前方に黒い影が映った。サターンかもしれない、淡い期待が頭をよぎる。
 だが、顔を上げると違う人。だけどこちらもまた個性の強い…。




 「うわ、変な人」

 「変な人とは失礼ですね」


 随分変わった髪形と髪色。まぁ、その点ではサターンと同等といったところだろうか。
 ライトグリーンの髪に黒い服。赤い文字でRと書いてある。本当にギンガ団みたいだ。


 「貴方ってもしかして、何かの組織だったりしますかね…?」

 「私はロケット団のランス…貴女は?」

 「私は元ギンガ団のルナ。今は只の迷子だけどね!」



 ある意味、同じような感じだ。ランスさんか。背が高くて変だけど少しかっこいい。


 「ルナ、ですか。元悪の組織とは思えない程可愛らしいですねぇ」

 「ギンガ団知ってるの?可愛らしいなんて初めて言われたかも…」


 サターンだってあんまり「可愛い」なんて言ってくれない。そういう性分なのだから仕方ないのだけれども。


 「先程、迷子と言っていましたね…。連れが見つかるまでアジトで待っていたらどうです?」

 「えっ、本当に?いいの?ありがとう!」


 他の組織のアジトなんて行ったことないから楽しみだ。ギンガ団より凄いのかな、何てワクワクしてくる。
 紫と赤のグラデーションが綺麗な空。ホーホーの声が聞こえた。







 
 (ルナは本当に何所へ行ったんだ?)(ランスさん、疲れたー)

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