「ヒノアラシかわいい!」
時間は昼、といったら良いだろうか。正確には11時24分。とても微妙である。
ほぼ空っぽになったギンガ団アジトのサターンの部屋で黄色い声をあげたのはルナだった。
デスクに向かっていた私は腰を上げて彼女の方へ歩み寄る。
「欲しいのか?ヒノアラシ」
熱い視線はテレビに向けられたまま。ヒノアラシに愛しのルナの視線を奪われたのは少々腹立つものではあるが。
「うん、欲しい!でも盗んじゃ駄目だよ」
「お前は貰うこと前提か。…分かっている」
呆れる様子を見せながらも、可愛いルナに思わず口許が緩む。
「ねぇ、ジョウト行きたい」
「また唐突だなお前は」
ルナは立ち上がって部屋のドアを開ける。
「ちょっとまて、何所へ行くつもりだ」
嫌な予感。こういう時はいつも…。
「うん?ジョウトだよ。行くんじゃないの?」
天然というか何というか。悪気が無いため怒ることも出来ない。へなへなと力が抜ける。
「まぁ行ってもいい…「やったー!早く行こうよ!」
ぎゅっと握られる右手。突然の事に手に汗をかく。
わがままには少し呆れるが、喜んでいる姿を見ると心が温かくなる。
◇
ルナの手持ちのチルタリスで大空に舞う。
「サターンも空飛ぶポケモン捕まえたら?」
「嗚呼、そうだな」
空飛ぶポケモン…。
手持ちのドクロッグも人から奪ったものだ。
ポケモンを自分で捕まえたことはない。今度ルナと一緒に捕まえに行くか。
「もう着いたのか?」
急にスピードを落とすチルタリス。目の前には和風な景色。エンジュシティだ。
「紅葉がきれいー!」
まだ背中の上だというのにはしゃぎだすルナ。落ちないように前に手を回した。
ひと時君にやすらぎを
(ジョウトのポケモンかわいい!)(…)
HGSS発売記念にジョウトで土星です。
title/咲きおくれの花
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