好きな人に、ヤキモチを妬かせたいと思いませんか―…?



 ヤキモチ恋愛醍醐味である







 最近わたしは、この“妬く”という感情に振り回されている。
 自分もルナに妬かせられるので、妬かせてやろう。その気持ちしかない。
 自分でも情けないと思っている。だが、そう簡単に抑えられる事でもない。



 「ねぇ…サターンっ!」

 そう言って、ちょっと怒るルナが可愛くて仕方がない。
 だからいつもわざと他の奴と話してみたりする。
 ルナがわたしの事しか考えられなくなれば良い―…。





 そして今日もまた。後ろから近づいて来る事を知りながらも、なお歩き続ける。


 「サターンっ!」

 今日は腰に巻きついてくる、細い腕。


 「なんだ」

 ぶっきら棒な返事をする、わたし。
 ルナは下を向きながら何かブツブツと呟く。





 「はっきり言わないと分からないぞ?」

 にやり。そう不敵な笑みを浮かべながら言う。


 「な、んか…最近サターンが構ってくれないから…」

 顔を真っ赤にしながら言うルナ。どうしようもなく可愛い。


 「仕方がない…構って欲しいんだな?」

 そう言うと、ルナの体をひょいっと持ち上げる。


 「え、ちょ、ちょっと!誰かー…!」




 その声、誰にも届かず。
 (誰かー!)(構って欲しいんだろ?)(…っ!)

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