「あら、あの二人…?」

 アカギの所へ向かおうとしたジュピターとマーズは、仲良く歩いている二人を見かける。


 「ったく、サターンって本当に不器用よねー!」

 あの事があってからやっとサターンもルナも素直になったようだ。
 それでも少し近くに居るようになっただけで、付き合っている様子は伺えない。




 「まったく、一人じゃ何にも出来ないお子様なんだから…」

 今回も女性組が施しをしてやるようだった。


 「マーキュリー、今すぐ来てくれる?」

 マーズが呼び寄せたのは、次期幹部候補のマーキュリー。彼をルナに近づかせようというのだ。




 「いい?マーキュリー。徹底的にサターンを邪魔するのよ!
  でも…やり過ぎないでね。アイツ、怒るから」

 彼はこんな事を頼まれると思わなかったので驚く。自分にそんな役が務まるのか。


 「しかし…はい、了解いたしました」

 こうして女性組によるvs作戦が始まったのだった。




 
 ◇





 「ルナ様!お荷物お持ちいたします」

 早速任務帰りの二人の元へ行き、ルナの荷物を持とうとする。


 「あ、うん!ありがとう。マーキュリー」

 そのふわりとした笑顔は、少し気を抜いたら自らまでも恋に落ちてしまいそうだった。


 「マーキュリー?どこの所属だ?」

 少し不快に思ったのか、サターンは口を開く。


 「サターン様、自分はマーズ様の部隊所属です」

 サターンとは部隊が違うので彼の存在を知らないのだ。
 マーキュリーはとても働き者で優秀な人材だ。





 「彼は時期幹部候補なのよ。ねぇ、マーキュリー」

 「恐縮でございます」


 サターンはマーキュリーを一瞥すると、覚えておこう。と呟いた。
 それからほぼ、ルナの隣にはマーキュリーとサターンが居た。





 「ルナ様、代わりに自分が行きます!」

 「お前は下がっていろ。わたしがやる」



 「ルナ様、任務お供いたします!」

 「お前はいい。わたしが行く」




 …こんなやり取りが暫くの間続いた。
 そして、サターンが単独で任務に出ていたある日のことだった。


 「どうしよう…今回の任務が失敗したのは私のせいだわ」

 任務に失敗したルナは嘆いていた。


 「ルナ様のせいではありません」

 そう言ってマーキュリーはルナの手を取る。
 サターン様が居なければ、この行為に意味は無い。そう分かっているのだが。




 「ルナ様…自分、いえ私は…」

 「マーキュリー?」

 と、その時。ばんっと勢い良く扉が開く。私もマーキュリーも振り返った。



 「わたしのルナに手を出さないでもらえるか?」

そう言ってマーキュリーが取っていたルナの手を自分の手に移し変える。




 「はっ、失礼いたします…」

 サターンは言い様の無い気迫でマーキュリー追い出した。


 「ルナ。遅くなってすまない。もし良かったら、わたしと付き合ってくれないか?」

 ルナは、先程まで落ち込んでいたのが嘘のように柔らかく笑った。






 「…喜んで!」

 こうしてマーズとジュピターの作戦は大成功したのでした。




 トバリの街角で
 (マーキュリー?やり過ぎたでしょ?)(すみません…)

. (100111 加筆修正)
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