今日は、久々に任務も無い。何というか…暇だ。
いつも机の上に山のようにあった書類は既に一枚も無く、サターンがいかに勤勉で退屈なのかがよく分かる。
少し気が向いたので外に出てみる。何故か急に行きたくなったのだ、あの場所へ。
ざあっ…
少し強く吹いた風に草むらが揺れる。此処はかくれいずみと呼ばれる所らしい。
昔、ルナと偶然見つけた場所であり思い出の場所でもある。
―――…
「ねぇサターン!私ね、大きくなったらサターンのお嫁さんになるんだ!」
―――…
あの時の言葉を、あの時の事を、ルナは覚えているだろうか。
恐らく忘れているだろう。まだ幼い頃だったから。それに今は…
わたしの心とは裏腹に、空は蒼く風は清い。
輝く水面に目を細める
(あれは永遠の幻)
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