暗い。

 暗い、怖いよ、トム…。



 真っ暗な空間の中に一人ポツンと座り込む、私。
 必死に愛しい人の名を呼ぶ。
 だがその言葉は届く事無く闇に溶ける。






 「ルーモス、光よ」

 弱弱しく呪文を唱えるが、手に握られた杖は全く反応をしない。
 私は今の状態にただただ絶望するしかなかった。





 ―――――…







 朝日が顔を照らし、ロゼは瞳をゆっくりと開く。


 「ロゼ、怖い夢でも見たのかい?」

 そう言って優しくロゼを抱きしめる。
 その温かさにとても安心した。




 「うん…。最近良く見るんだよね、この夢」

 リドルは、どんな夢がロゼに恐怖を与えているのか気になったが
 果たしてこれは聞いても良い事なのだろうか。




 彼女はそんなリドルの気持ちを察したらしく、話し始める。


 「あのね、リドルがいないの」

 「!」


 僕が原因だったのか。と頭を抱えたくなる。



 「リドルが居なくて、暗くて怖いの」

 「大丈夫、僕は…ロゼの前から消えたりしない」







 ―――――…



 そう言ったのに。
 貴方は私の前から消えてしまったね。


 あの日の朝、私の横に、自分のローブと手紙を置いて。
 今でも私はあの夢を見ます。
 貴方は、何処へ行ってしまったのかな…。







 今日も涙が私の頬を濡らします
 (トム、会いたいよ…)

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