「やぁ、ロゼ」
「こんにちは、トム」
普段のように、偽りの笑顔を向けてくるトム・リドル。
勿論、私だけが特別ではない。
周りの女子生徒にも同じように愛想を振り撒く。
中には、「リドル様素敵!」などと歓喜の声を挙げている者もいる。
…あんな奴に様?
きもちわるい!
何処が様だ。自分が奴に何て思われているかも知らずに。
何と言うか、哀れだ。
私はあいつが嫌い。掴み所が無くて不気味だ。
(心中、何を考えてるか分かったもんじゃないわよね…)
折角の休日に気分を害されたので、部屋に戻りマグルの世界で
流行っているという「ドラマ」を見てみる。
「嗚呼、愛してるよ」
「ジョン!私も愛してるわ!」
丁度つけた時にこれだ。胸糞悪い。
「(ジョンって誰だよ…)」
テレビを消して、ぼふんとベッドにダイブする。
愛してる、か。
そんな事どうして言えるのか全く理解が出来ない。
「永遠のものなんて、ある訳ないのに」
「そんな事、無いと思うよ」
私以外、誰も居るはずの無いこの部屋。どうして…。
「何、しに来たの。というか、何処から…」
すると腹黒偽紳士はにこりと微笑み、僕だからだよ。と呟く。
優等生は何したって良いってか、畜生。
「愛というものは僕にもさっぱり分からない」
「な、「永遠もね」
すると彼は、背の低い私の目線に合わせて、そう問うた。
「試してみないか?」
その、永遠と愛とやらを
(試して、試される)
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