今日は私がホグワーツで楽しみにしている行事の一つであるクリスマスパーティーだ。
 いつも豪華な食事に加えて、ケーキやターキーまで備えてある。
 皆は恋人と楽しく過ごしているみたいだが今私は一人だ。
 何故かというと、私の彼、トム・リドルはスラグホーン先生のお気に入りの生徒だけが
参加できるパーティーに呼ばれているからで。
 リドルは先生に私も行く事が出来ないか頼んでくれたみたいだけど、何も言わない辺り無理だったらしい。




 仕方の無いことだから寂しくはない。
 …筈なのだがこれがなかなか、そうもいかなかったりする。
 各々部屋に戻っていったのか、段々と周りは静かになっていき
 天井から魔法で降り注ぐ冷たくもない雪がちらつくのみだった。



 手にはナイフとフォーク。ありとあらゆる物を食べ尽くしてしまい、眠気が襲ってくる

 これでは酔っ払いのオッサンではないか。そう思いつつも徐々に重くなる瞼を閉じた。












 リドル――…。











 頭の中は彼のことだけになった。
 早く帰って来ないかな、なんて思ったりして。


 嗚呼、私リドルの夢を見てるんだ。
 12時に私を迎えに来て。それで、それで…!






 「ロゼ!」

 誰かにゆさゆさと体をゆすられる。


 「リドル…?」
 
 不安定な意識の中、目の前にいるであろう人の名前を呼ぶ。





 その瞬間、大広間の時計が鳴り響いた。夢と同じ午前零時を知らせる鐘。




 「夢、なの…?」

 ぎゅっと抱き締められて視界がリドルで一杯になる。



 「良かった、他の男に連れていかれないで」

 「リドルかっこいいね」

 そう言ってリドルのドレスローブをきゅっと引っ張る。
 ヘラヘラと笑っているあたり、まだ寝ぼけているのだろう。
 無理して立ち上がってよろけた体をしっかりと支える。





 「待たせてごめん、ロゼ」


 すっかり夢の世界に取り込まれてしまったロゼを腕に抱えて
 その頬にそっと口付ける。





 決して積もることのない雪は相変わらず二人に降り注いでいた。



 
 (午後零時にかかる魅惑の魔法)

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