「やっばい・・・!」

 自らが身に着けている腕時計をちらりと見れば、針は残酷にも0時8分をさしていた。




 12月31日はリドルの誕生日。分かっていたのだけれども、寮の皆と新年会をして
盛り上がっていたらいつの間にか眠ってしまっていたのだ。


 それにしてもスリザリン寮は遠すぎる。
 自分の寮なのだけれども、いつもそう思う。





 手には彼に渡す予定のプレゼントの箱。
 私としたことが年が明けてしまったとは。


 急いで合言葉を言って中に入ればそこには見慣れた後ろ姿。
 こんな時まで本を読んでいるのだろうか。






 「リドルー?」

 小走りで近寄るが何の反応もない。まさか私がリドルの誕生日に間に合わなかったから
怒っているのか?


 恐る恐る顔を覗き込んでみれば、綺麗に閉じられた瞼。
 どきりと心臓が跳ねる。




 「(わわ、何してんだろ…恥ずかしい)」

 それにしてもどうしようか、起こそうか起こすまいか。
 だがこのまま朝までソファで眠るという訳にもいかないだろう。






 もう一度リドルの顔を見てみる。
 すぅすぅという規則正しい寝息から熟睡している事を悟る。やっぱり私には起こせない。


 「(仕方ない、ここはサンタさん方式で…!)」

 リドルが寝ている横にそっと箱を置いて女子寮へ向かおうとしたその時。






 ぐいっと力強く引っ張られ、後ろへ倒れる。
 サラリとおでこにかかる黒髪。


 「僕を置き去りにするなんて良い度胸だね、ロゼ」

 にこりと笑うリドルはいつも以上に怖くて。



 「ご、ごめん。誕生日にも間に合わなかったし…!」

 怖い笑みを浮かべたと思ったら次には恐ろしい真顔。



 「あ、あの…何でもするから!」

 言い切ってしまってからハッと口をつぐむ。
 この人に何でもなんていう言葉は使ってはいけないのに。






 「へぇ?なんでも…?」
 
 待ってましたとばかりにリドルの瞳がギラリと光る。



 「あ、違っ…!」

 リドルの手が両頬を包み込む。何をされるか怖くて目をぎゅっと瞑れば唇に柔らかい感触。




 予想外の事に驚いてリドルの顔を見ればご満悦の様子。

 「え、と…?」

 「今日はこれくらいで我慢してあげるよ」






 ソファからゆっくり立ち上がると私の腕を持って立たせる。
 唇が耳に触れるか触れないかの際どい距離。吐息が耳にかかって思わず俯いてしまう。



 「その代わりさ、一緒に寝てよ?」

 僕の貴重な睡眠時間を奪ってくれちゃったんだからさ。と呟いたリドルの横顔は限りなく楽しそうだった。











 
 (ZZZ...)(ちっとも寝れたもんじゃない!)


◇◇◇◇◇◇◇
皆さん、あけましておめでとう御座います!
今年も当サイトを宜しくお願い致します。
あけおめ記念とリドル誕生日を一緒にしてしまいました(汗)
お楽しみ頂けたら幸いです!


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