「あっ、リドル!」
「ロゼ…!」
夏休み休暇のため一時帰宅していた私だが、読書レポートの課題を
図書館で済ませようと思い一足先に学校へ戻って来たのだった。
何を読もうかなぁ、なんて考えていると目の端に見慣れた黒髪が映った。そこで冒頭に戻るという訳である。
それにしても偶然だ。リドルは休暇中も図書館で過ごしていたのか。流石、と言いたい。
頭ではそう考えているが、私の体は嬉しくてリドルの方へ引き寄せられていく。
「髪切ったの?可愛いね」
「ありがとう…!」
この間切った髪。結構長かった髪を思い切って切り落としたのだ。
リドルの腰に腕を回し、サマーベストに顔を埋める。
何かに包まれるような、ふわふわした感覚。私の大好きな匂い。
もう本当に嬉しくて嬉しくて、すりすりと頬を擦り付ける。猫のようだね。と言われ、少し浮かれてしまう。
くしゃりと髪を撫でられたので、ちらりとリドルを見てみると急に体を持ち上げられたので、驚いて少し暴れてしまった。
腕と体の間に手を入れ、持ち上げられているので少し恥ずかしい。恐らく顔は真っ赤だろう。
「じゃあ僕の可愛い猫に一つだけ命令」
「?」
「頬にキス。出来るよね?」
砂糖菓子の子猫
(ちゅっ)(嗚呼もう、食べてしまいたい)
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