今日は何故かとても暇だ。
 夏の長期休暇前は、いつもレポートの提出などに追われて
 ついぽっくり逝っちゃいそうな程忙しかったのに。
 部屋には誰もおらず、話す人もいない。
 きっと談話室や大広間に行けばいくらでも人は居るのだろうけれども。



 枕元に掛けてあったネックレスに視線をやり、ひょいと手にとってみる。
 きらきらと輝くエメラルドブルー。丁度今の空にぴったりの言葉だった。
 これは、去年の私の誕生日にリドルが贈ってくれた物だった。





 そうだ…!




 リドルに会いに行こう。とロゼは思いついた。
 彼は博識だし、話していると結構面白い。






 ◇






 「で、君は暇つぶしに来たと?」

 「うん。そーだよ?」


 即答されると結構傷つくな。とぼやきながらも、先程のネックレスを着用して行った事により
 不機嫌になるのを回避できた。
 だが、いきなり沈黙タイム。正直けっこう辛い。
 まぁ必然といえばそうなのだが、何せ理由も無く突然押しかけたのだから。






 「ねぇーりどる」

 「何…ロゼ」



 案外すんなり返事をしてくれたので、逆に困ってしまった。



 「えと、どうしよう…」

 「用も無いのに呼んだのかい?君は…」


 僕は本を読むのに忙しいんだ。と言わんばかりの速度で本に目線を戻し
 また黙々とページを捲り始める。






 『私って死んだらどうなるのかなぁ』

 ぼーっとしていたら、そんな考えがポッと頭に浮かんできた。
 全く…。最近の暑さのせいでとうとう脳回路がショートしたようだ。



 死んだら、今までのことも忘れるのかなぁ。
 じゃあ、誰かが死んだら私も忘れられるのかなぁ。
 天国とか地獄って本当に在ったりするの…?
 私どっち?地獄とか本当に勘弁!どうせなら天国がいいな。



 そういえば、リドルって死ぬのかな…。
 殺しても死ななそうだよね。っていうか、殺す前に殺される、か?
 頭が混乱してきて、改めて自分は馬鹿だなぁと確信する。
 目の前のリドルはそんな私を他所に涼しい顔で本を読み進めている。





 私が死んだらリドルの事、忘れちゃうのかな…。今こうしている時間も全て。
 それでリドルが死んだら私の事も忘れる。
 生まれ変わったらリドルも私も別の人を好きになるのかなぁ。
 でも…。


 「ロゼは、知ってるかい?」

 「え?」



 今まで黙っていたリドルは、急にパタンと本を閉じて此方をまっすぐ見つめた。



 「全ての生物は無限に同じ人生を繰り返すんだよ」

 何度も何度も同じこと、同じ過ちを繰り返す。





 「だから僕らが死んでも生まれ変わって、また出会うってわけ」

 私は面食らった。
 まるで今まで会話をしていたかのように返事を返されたから。
 …という訳ではなく、リドルがこんな事を言ってくれたからだった。
 考えていた事を知られたのは開心術に他ならないが「何で心読むの!」とも言い返せなかった。



 「だから、僕は何度でもロゼを愛し続ける」

 人間って本当に馬鹿な生き物だよね。と彼は微笑した。
 だったら私は馬鹿でいい、かな。
 そう思って初夏の綺麗な青空を見上げた。






 迷わず君を選ぶから
 (何、泣いてるの!)(だって…!)


 
 注意)この生死思想は、私の考えなので事実ではないと思います。


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