チャイムが鳴って、眠りかけていた体を起こす。本当に現代国語とは
なんでこんなに眠いんだろう。次はお昼休みだけど何も食べる気がしない。
ぼーっと椅子に座って考え事もせずにぐだぐだしていると、教室の
入り口に友達の姿が見えた。そういえば景吾がいない。
だけど、その友達が私を手招きしたことによってそんな考えが吹き飛んだ。
がたりと席を立てば何故か視線が私の方に集まってきた。
「……?」
「なまえ、隣のクラスの青木君が呼んでるよ!」
「あー…うん、今行く!」
のろのろと寝ぼけた頭で廊下へ出れば、青木君が立っていた。
どうしたの?と聞けば、ちょっと伝えたいことがあるから場所を移動したい
と言ってきた。特にすることもなかったので着いていく。
「あのさ、みょうじさん…俺ずっと君のことが好きだったんだ…!」
「え…」
「だから付き合ってくれないかな…?」
「ごめんね、私付き合ってる人いるから…」
「そっか、分かった」
そういえば景吾探しに行かなきゃ、と思ってくるりと振り返れば
視線の先に景吾がいた。さっそく歩いていこうとすると、後ろから
あっ、という声が聞こえてきた。
「どうかした…?」
「えっと、背中に…」
「背中?」
自分の背中を触ってみると、紙のようなものがついているのに気がついた。
また誰かのいたずらか…と剥がしてみると。言葉も出なかった。
私は青木君に教えてくれてありがとう、と言うと景吾を無視して階段を
駆け上がった。何か仕返しを考えなければいけないようだった。
“みょうじなまえは跡部景吾のものです”
(悪かったなんて言わないぜ?)(……[無視])
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