今夜は跡部邸でパーティーがあるらしい。
   跡部景吾の彼女である私は勿論お呼ばれした訳で少し困っていた。
   何しろ私には「パーティー」というものの経験が無い。
   きっと景吾のことだから、パーティーというより舞踏会みたいなの  
   だろう。


   そう思ってじっと椅子に座っていると、景吾が何やら大きい箱の
   ようなものを引っ張って来た。上にはワインレッドの布が掛かっている。
   景吾はにやりと笑ってそれを引き剥がした。




  「なまえ、お前にはパーティーに相応しい格好をして貰う」

  「え…! すごい!」




  目の前には色々な種類のドレスがずらりと並んでいた。
  景吾はその前でうろうろした後、五着ほど手にとって
  私の方に歩いてきた。





  「お前にはワイン色が似合うか…?」

  「嗚呼、青いのも良さそうだな」

  「え…えっと…?」

  「うすいピンクはどうだ?いや、こっちの方が良いか…」

  「……」






  着せ替え人形も大変なのです
  (結局ドレスの色は紫のグラデーションになりました)

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