「こじろーちゃん!」
「ん?あぁ、なまえか」
授業が終わったからこじろーちゃんと帰ろうと思って呼びに行ったら、知らない女の子が沢山周りにいた。こじろーちゃんが人気なのはいつものことなんだけど、今日はいつもよりいっぱいいて、おまけに腕を掴んでる人もいた。
「こじろーちゃん、帰ろうよ…!」
「うん、そうだな。そろそろ帰るか」
そうするとこじろーちゃんは女の子をやんわりと退けて私の方に歩いて来る。こじろーちゃんはかっこよくて、優しい。だけどそれが私だけに向けられるものじゃないから、私は悲しくなる。握られていた手にぎゅっと力を入れると、こじろーちゃんは振り返った。
「なまえ?」
「こじろーちゃん、好き…!」
ぎゅうっと抱きつけば、こじろーちゃんは柔らかい声でどうしたの?と聞いてくる。だけど今は答えない。こじろーちゃんを困らせて良いのは私だけだから。
わたしのこじろーちゃん!
(なまえってばヤキモチ?)(こじろーちゃんがかっこいいのがいけないんだよ!)
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