朝練を終えて教室へ行くと、なにやらなまえが珍しく語勢を強くして言い合いのようなものをしていた。なまえの席は教壇の真ん前。その隣に女子が座っていて、周りにも何人か集まっていた。楽しそうに話をしている風には見えない。喧嘩だったら宥めに行こうと席を立ってなまえの後ろまで近づいたが、声を掛けるタイミングが上手く掴めなかった。




「私は幸村君がこれくらい好きよ!」

「なーんだ、大したことないじゃん!私なんてね、精市のことこーれくらい好きなんだから!」



ちょっと覗き込むと、一枚の白い紙には水色のペンとピンクのペンでハートマークが幾つも描かれている。そして今なまえはその中でも特に大きいハートを水色でぐるりと描いた。会話を聞いていると頬の筋肉が緩んでしまう。まったく、本当に可愛いんだから、なまえは。





一次元戦争

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