「精市すきっ!」


 廊下を歩いていると遠くの方からなまえが走ってくる。
 彼女は自分で運動全般は苦手だと言っていたが、そんなことはないと思う。
 だってほら、こんなにも早く俺の所に到着する。


 なまえは物凄い勢いのまま、少しもパワーを緩めることもせずに
 俺に向かって飛び込んでくる。これもいつものことだ。
 父親が小さい子供を迎える時のように、なまえの背の高さまで屈んで
 抱きつきやすくしてやる。




 

 これでお互いどこにもぶつかる事が無く安全なのだ。
 勢いに乗せられてなまえの髪の毛が俺の顔に当たるのもいつものこと。
 彼女の髪の毛は柔らかいので全く痛くなんかない。


 微かなシャンプーの匂いに気を良くするも、周りのなまえへの視線は
 やはり痛かった。俺がいつもなまえについていなきゃ、他の女共は
 すぐに彼女に手を出すだろう。




 「なまえ、今日は部活がないから帰りにどこか寄っていこうか」

 それでもなまえには俺だけいればいい。俺が必ず守ればいい。
 それだけなのだから。










 そんなイメージ
 (精市、私アイスがいいな)(そう?じゃあアイスにしようか)

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