「ねぇ精市、どうして精市はそんなに女の子なの?」
「…え?」
いつもと変わらない学校帰り。なまえが急に足を止めたと思ったら
くるりとこちらを振り返ってそう問いかけてきた。
勿論俺はそんな質問に容易く答えられる訳もなく戸惑ってしまい、
同じく帰路を共にしていたテニス部メンバーもまた驚いていた。
「なまえ?俺は女の子じゃないんだよ、知ってるよね?」
「うん知ってるよ」
するとなまえは俺の手を掴んで、自分の手と並べた。
「ほら見て、精市の手ってさ白くて綺麗。それに足も長くてかっこいいし…」
「そりゃそうっスよ!幸村部長は綺麗でかっこよくて勉強も出来てテニスも出来るんスから!」
「……」
赤也はもう救いようの無いバカだということが分かった。
なまえは今の言葉を気にしてか、自分の両手と俺の手。自分の足と俺の足を
見比べてがっくりと肩を落とした。
「なまえ、こんなバカの言うことなんか気にしなくていいよ。
俺はちっちゃくて可愛いなまえが大好きなんだ」
「本当?精市、私のこと好きなの?」
「うん、好きだよ」
するとなまえはもう一度うん、と言って幸村の手をぎゅっと握った。
幸村は一瞬どきりとしたが優しく微笑むと柔らかくその手を握り返した。
「あぁ、赤也…。明日の部活、覚悟しておくといいよ」
とある部活の帰り道
(幸村部長ってなまえ先輩といると変わるっスよねー)(…)
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