「ねぇねぇ、げんいちろー!」
 「…なんだ?」


 「ねぇねぇ、げんいちろー」
 「…なんだ」


 「ねぇねぇ、げんいちろー」
 「…」


 「…」
 「…」



 弦一郎は私のことをじっと見詰めた。だから私もじーっと見詰め返した。
 さっきまで一緒にお昼を食べていたテニス部のメンバーも私達をじっと見ていた
 気がするけど、今はそんなことどうでもよかった。




 弦一郎は背が高い。精市も充分高いけどもっと高い。
 私なんて、ただでさえ中三に見られないくらいの背なのに弦一郎と並ぶと
 兄弟?なんて聞かれることもある。兄弟じゃないやい。




 暫く立ったまま見詰め合ったら段々と首が疲れてきた。
 なんだか無性にそうしたくなって、弦一郎にぎゅっと抱きつく。
 柔らかくて白いブラウスは、弦一郎の匂いだった。






 
 理解不能
 (弦一郎、すき)(なっ…!?)

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