ぶくぶくと潜ってからまた水面に顔を出す。本当に素晴らしい。
今私は彼氏である跡部の家に遊びに来ている。家っていっても、
とても広くて大きいからお城とか宮殿って感じなのだけれども。
時刻は午後六時過ぎといったところだろうか。夕ご飯の前にお風呂
に入っておこうと思って、バスルームを借りていた。
部屋を出る前に景吾に、お前の為に特別仕様にしてある。と言って
いたからなんだろうと思って入ってみれば、唯でさえ広い浴槽に
めいっぱい薔薇が浮かんでいた。とても良い香りがする。此処は普段
景吾が一人で使っているらしい。ホテルの大浴場並みに大きいのに。
さっそく足先をお湯につけてみれば、丁度良い温度だ。私が熱いのは
苦手なのを知っていたのか。やっぱり景吾は色んな意味で凄い人だと
思う。そんなこと考えながら全身を沈めると意外と深い。プールみた
いだ。調子に乗ってずっと潜っていると、口から少しずつ漏れる空気
が頬を伝って水面に上っていくのが分かる。何故かそれが少し心地良
かった。
流石に私も素潜りの選手でも、はたまた尼さんでもなんでもないので
普通に息が苦しくなってくる。そしてぷはっと顔を出せば瞬時に私は
固まった。なんでかって?いたんだよ、目の前に。
「け、景吾?!なんでいるの!」
「別に俺様がいつ風呂に入ろうと勝手だろ。それより風呂で潜る奴なんか始めて見たぜ」
そう言い終わるとふはっと吹き出した。途端に恥ずかしくなってくる。
もう景吾がいるって事もあんまり気にならなくなって、とりあえず今は
この素敵なお風呂を満喫しようと思った。
薔薇風呂日和
(俺様がいるのに全く気にしねぇんだな) (だって気にしてたら私生きられないもん)
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