しょげた時こそ馬鹿になろう。
長い夏休みが終わり、9月最大のイベント文化祭が始まる。
文化祭はいろんな意味で生徒全員が盛り上がるイベント。最後である3年はもちろん、下級生も準備から熱が入っていた。

長い準備期間を終え、ついにきた文化祭当日。
もうすぐで開場の時間になることもあり、各クラスは最終確認などで慌ただしい。
そんなクラスを放っといて一人図書室に籠っているのはあの本の虫、祐輔だ。今日はいつもより早く学校が開くので、準備前に本でも読もうとしたところ、どうやら本に集中し時間を忘れてしまったよう。
静かな教室に、ページをめくる音が響く。

そんなとき、唐突に図書室のドアが開いた。

「なにしてんだよ、祐輔」
「おー夏目ー。」

ドアを開けたのは夏目。
先生に頼まれたのだろうか、最後の点検か手には文化祭の資料が握られていた。

「自分のクラスは?それにお前図書委員の出し物もあったろ」

夏目の言ったものを素直に答えるとすれば、両方サボり。まぁ、先程もいったようにいつの間にか時間が過ぎてたと言うのが一番の理由だが。
クラスの出し物は昨日のうちに大方終わり、今朝の準備に自分は要らないだろうと自己判断。
図書委員は毎年行っている古本の販売と、今年から始めた栞の配布がある。

古本の販売は、入ったお金で新しい本を買えることもあり賛成なのだが、栞はあまりのり気ではない。
少しでも、本を読んでもってもらおうと言うつもりなのだろうか。図書委員一人10枚作れとのこと。
夏目が図書委員のことを聞いたと言うことは、祐輔がまだ1枚も提出してないことを委員長から聞いたのだろう。

「なかなか難しいこと始めたから行き詰まってさー。でもまぁ、他のみんなが作ってくれてるから大丈夫かなって!!」
「珍しく他人任せだな」
「そういうときもある!たまに出来ないとこを見せるのもモテるポイントだしな!!」
「それは女子にかぎったものだと思うが…」

今いいところだから、これを読み終わったらクラスに戻る。そう言うと夏目はしぶしぶ承諾し、次の教室へ向かった。

夏目が去ったことを確認し、祐輔は自分の鞄を手に取り、中を覗く。
そこには、なんだかんだで作った栞がゴムにまとめられてあった。
前日に他の生徒が描いたものを皆でみたが、どれも色鉛筆や水彩、押し花など色とりどりなものに作られていたらしい。らしいというのも、祐輔に色を判断する事が出来ないため、周りの話していた内容によればというもの。
それに加え祐輔が作った栞は黒色のペンで書いただけ。唯一ある色と言えば台紙の画用紙の色。

彼にとって精一杯やったが、周りから見れば手抜きに見えるだろう。
男としてのプライド、というものが彼にあるのかは不明だが、姉や千秋に頭を下げ色塗りを頼んだ。その結果、

“自分が手を加えれば、それは祐輔の作ったものではなくなるから”

そう2人共から言われ、まぁバッサリと断られた。

「…いいのかわかんねーんだよなぁ」

栞に向かってそうつぶやいたと同時に、何やら体育館の方から騒ぎ声が聞こえた。
そう言えば軽音部が演奏をすると言っていたっけ。

「文化祭、スタート…」

そう小さく言葉を発し、目を閉じる。深呼吸をして、気持ちを落ち着かせれば、再び目を開ける。

「じゃあいつものノリで頑張りますかね。」

立ち上がり、販売するため並べられた古本の前に立つ。
良いやつにわたるといいな。そう本に向かっていい、祐輔は図書室を後にした。



教室に向かって歩いて行けば、生徒がぞろぞろと歩いてきている。どうやら開会式が終わったようだ。

「あれ、観月じゃん」
「おぉ、天野!それに飯島!」
「いないと思ったらもしかしてさぼり?観月くんやるねー」
「だろぃ!」
「(…馬鹿だ)」

開会式がどんなものだったかを話しつつ教室に入る。なんだかんだで結構盛り上がっていたらしい。
少しおしい事をしたかなと思いつつ、終わったことを思ってもしょうがない。

「おや、さぼり」
「会ってそうそうそれ!?」

お客が数人入ってくる中、祐輔は担当である裏方の方へ入る。ちょうどそこには幼馴染の姿があり、顔を合わせた途端さっきの一言。

「全校集会ってやっぱ好きだな。かわいい女の子が沢山」

うっとりした顔でそういう千秋に祐輔は慣れた様にそうだなと答える。

「図書室に行ってたんだよね?栞は渡したの?」
「う……。」

返事に困っている祐輔を横目に千秋は“君はだれ”と聞いてくる。

「へ!?」
「いつものバカな祐輔はどこ行ったのかなって」
「……。」
「考え込むなんて祐輔らしくない。あの栞、私は素敵だと思った。
まぁ、私はそんなに詳しくないから何とも言えないけど。」
「そうかな…」
「人が精一杯したものを笑う権利はだれにもない。何かあっても言わせとけばいいんだよ。
それに何があってもばかやってるのが君でしょ」

そう言われちょっと考えてみる。
今までもこんなことあったな。そんな時どうしてたか。

「うん、ばかやってたわ!」
「だよね」
「なんだよー!ちょっとシリアス?的なのになっちゃったじゃんー!」
「……。」
「あ、でもシリアスってちょっと“なにこの人かっこいい”っていう空気になるって聞いたことあるぞ!もしかしたらこれはモテるフラグが!」
「バカってやっぱちょっとうざいわ」
「え」



――――――

はっきり言います。ちょっと行き詰ってなげました。すいません。
文化祭何やるのか分からないので雰囲気で書かせていただきました。

祐輔は図書委員なので、ある一定時間は図書室で販売係してると思われます。
ちなみに祐輔が作った栞は、見た目の例で言うなら切り絵みたいな?
花とか、いろいろです。
では


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