Another desire | ナノ


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部屋で乱闘をおこした次の日の朝。
目覚ましをかけていたはずなのに鳴らず、初日から遅刻する!と大慌てで着替え寮をでた。
正直いままで着たようなことがないタイプの服で、慌てていたし多分ちゃんと着れてない。(これ前閉めれる服だよな…。ブレザーの丈長くね?ネクタイ……)

服のことはもう気にせず、昨日言われた教室に走りドアを開けた。その瞬間、チャイムが鳴り響いた。

「おぉー。一応セーフか?初日から遅刻するかと思ったぞ」
「…すいません」

気まずいながらも二つある内、空いてる席に座る。
ため息を一つついたとき、横からすごい視線を感じた。自然と眉間に皺がより、視線の方を向くとキラキラと目を輝かせた眼帯の少年(男子の制服来てるからきっと男…)がいた。
しばらく黙っていたが少年は「わぁ!」と感動した声を上げ言った。

「ヤンキー!生で見るの初めてです〜!!」
「……。」

その瞬間蘇るは昨日のちびとのやり取り。余計眉間の皺が深くなった気がするが、気のせいだということにしておこう。

ちげぇよ…とぼやくとそいつは不思議そうな顔をし、俺の格好のことを言った。
ふと眼帯の方を見れば、前もシャツのボタンもネクタイも、綺麗にきっちりと閉められていた。(なるほど、これはあぁやって着るのか。)
話の流れで無視するのもあれなので、朝急いでいたことと、着方がよく分からなかったことを伝えると、今度は目を丸め、

「なんですか、そのおっちょこちょい設定…誰も求めてないですー……。」

と言ったので、ベタな台詞「表でろ」と言えば、またうざいぐらい目を輝かせた。(忙しいやつ…。)
その後軽く自己紹介をし、こいつの名前は"春原シオ"というらしい。

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それから七海につれられ、2人で健康診断を行った。身長とかそんなものが主だったが、腹筋とかの体力測定もついてきた。
すぐ終わると予想していたそれらが終わった時間は昼休み直前。バイトで体を動かしていたからそれなり動けたが、やはり疲れた。
机に伏せ、休んでいると着替え終わったあいつがやってきた。

「おややー!これは大分お疲れのご様子!僕、人生初のパシリに使われるのでしょうかー!!」
「うるせぇ…」

残念ながら、俺はパシリに人を使ったことなどない。
頼みごとをする時もそれなりに態度を改めてしている方だ。(その時の相手の反応はどうであれ。)
第一こんな面倒な餓鬼相手にしたくない。

顔を伏せたまま無視をし続けていたところ、机の上に何か置かれたような音がし、思わず視線をそちらに向けた。
そこには、スポーツドリンクがはいったペットボトル。
さらに顔を上げれば、にこりと笑うあいつの姿。

「実はもう買っていたのですー」

一応礼を言おうと口を開いた瞬間、「僕は何て気のきく子なんでしょうー!」なんて被せてきたもんだからとりあえず舌打ちをしておいた。

お昼をどうするか問われ、そう言えば朝時間がなく準備していなかったことを思い出す。
今日の授業は健康診断で終わりなのだが、生憎昨日の今日で寮には何もない。まだ周辺に何があるかも分からない。
購買で何か買うか。そう呟くと、そいつはなら昼休み終わるまで待たないかと言った。

「なんでだ」
「お昼休みは購買も食堂も凄く混むのですよー。どうせ午後の授業ないなら落ち着いて買えるお昼休み後に買えばと思いましてー。」
「…よく知ってるんだな」
「常識ですー。」
「……。」

こいつはもしかしなくとも人を馬鹿にするのが好きなのかもしれない。
そう思いつつ、こいつの言う通り、昼休みが終わるまで教室で待つことにした。

「そういえば、お前休学してたんだよな」

沈黙か続くなか、ふと気になっていた質問をぶつけてみた。
そいつは、嫌な顔せずはいとの返事。

「この右目が…」

と、そっと右目に触れ辛そうな顔をするので、あいつらにやられたのか…なんてことを思い、そうか…と呟いた。
やはりあいつらと戦うにはそれ相応の力が必要なんだなとか色々考え付いたとき、あいつは小さくなにかを言った。
うまく聞き取れなかったので聞き直したところ。

「レーシックの手術で…」
「は…??」
「凄いです…今まで見えていた景色とうって代わり、凄くクリアーですー!」
「……。」
「あ、その顔ー。信じてませんねー…。
嘘ですけどー…」
「嘘かよ。」
「僕、目は凄く良いのですよ!」

その後本当の理由は、自分の凶悪な人格を封印するための眼帯なんだとまた馬鹿馬鹿しい答えをしたので、心底どうでも良いと言う顔をした。
こいつについての話はもう無視することに決め、この学校や祓い屋についての話をすることにした。

 

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