Another desire | ナノ


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暗い住宅街の路地に、謎の黒い物体3匹と、足から血を流しながらも立っているアユム。そして何が面白いのかさっきから笑顔を崩さない謎の少年。アユムと同じくらいの都歳で、黒に近いコートに赤色の腕章をしている。
さっきの彼の一言で、この場にいる者の視線はすべて彼の方へ。

「ね、どうなの?」
「は…?」
「だーかーら。それ」

そう言って指をさしたのはあの黒い物体。

「君が倒す?俺手出ししない方がいい?」
「え、」
「でも君そんなにボロボロになってさ。もしかしてM?」
「は!?ちげぇよ!」
「え、違うの?武器も出さないで一方的にやられてるからさ、Mなのかと思った」

彼は黒い物体をそこに存在してないかのように無視し、アユムとの会話を楽しんでいた。

「ってか、武器ってなんだよ…」
「…?あれ、君…」
「?」
「あー、何だそういうことか…」

声のトーンが少し低くなりそうつぶやく彼。アユムにはさっぱりだが、何かわかった様子。

「ねぇ、君」
「は…?」
「この獲物、俺がもらってもいいかな?」
「え」
「俺今テスト中でさ、他のやつらより多く討伐しないといけないんだよね」
「…。」
「…いいかな?」

そう言い、今まで笑顔で隠れていた彼の瞳が姿を現す。その瞳は怪しく光っており、暗闇でも獲物を逃さない狩人のよう。許可を求めている言葉なのに、その表情は拒否することを認めない。
言葉を発することを許されないアユムは、ゆっくりと頷くことしか出来なかった。

「ありがとう」

そう言ってまたニコリと笑い、彼は手を上へ勢いよく上げる。
彼が挙げた手から放物線を描くようにあの物体の頭めがけて何かが飛んでくる。

 ガガガッ!

 

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