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「御社学園って…あの?」
「あ、知ってるんだ!」
意外だというような顔をする鎖の少年。
御社学園―
学校の敷地は私立校くらいの大きさ。しかし私立ではなく数少ない国立校。
お金持ちや才能のあるものだけが通えるとうわさされているが、もちろん一般募集もある。
「なんであの学校…」
「今君が見たあれは“夜虚”といわれるものなんだ。さっきも言ったけど彼らは良いやつなんだけど時代の変化でね。
狂暴化した夜虚は、最悪人の命を奪うほどになっていった。」
「……。」
「夜虚を祓う力を持つものは年々減っていき、これではだめだと思った政府は、祓い屋養成学校をつくった。それが、」
「御社学園…」
アユムがそう言えば彼はニコッと笑った。そして彼は続けて言う。
夜虚には見える者と見えない者がいる。その為公にはしていない事。
見えるものには祓うための力があるが、何もしないで成人すればその力はなくなってしまう事。
養成学校は御社学園の他にもあるが、日本では一番大きな学園であること。
「夜虚についての詳細は学校で教えてもらえるから、先生にでも聞きなよ〜」
「嫌、だから通わねぇって…」
「それは無理だよ」
そう言った彼の顔は、へらへらした顔ではなく至って真面目な顔。
無表情ともいえる顔をした彼は、続けてもう戻れないといった。
「どういう意味だ…?」
「君は能力に目覚めてしまったからね。今もまだ瞳が白い。」
自分では確認できないが無意識に手で瞳を隠す。
「この目がなんだって言うんだ」
「祓うための力さ。その力があるものだけが祓い屋になれる。」
「別に俺は祓い屋になりたいわけじゃ…」
「力があるってことが、どういうことか…分からないわけじゃないよね」
「!?」
「夜虚も馬鹿じゃない。力があるものは優先的に狙われる。
君は狙われてもいいかもしれないけど、周りはどうなんだろうね。」
「お前…」
「そんな顔しないでよー。まるで俺が悪役みたいじゃないか〜」
落ち着いてと言いながら両手を上にあげる彼。
「君だけがそうってわけじゃないんだから、」
「……。」
「あ、それに!祓い屋としての資格とれたら学費免除になるんだよ!祓い屋として働くってなってもなかなかいい給料もらえるしー。」
シリアスな雰囲気から一転、彼は笑ってそういう。
ころころとよく表情が変わるものだ。
「で…君はどうする?」
「……。」
「あいつの名前結局聞いて無かったな」
“職員室に行け”彼はそういってどこかに飛んで行った。
この学園のどこかにいるのだとは思うが…
「会ったらいっぺんぶん殴りたい…」
アユムは鎖の少年の事を考え、そうつぶやいた。
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