Another desire | ナノ


  3


気づいた人もいると思うが、ここは親なき子供たちを養護するための施設である孤児院。
孤児院といっても、一軒家をリフォームし、子供たちの居住スペースを広げて作っただけで、外観はほとんど普通の家。
従業員もこの家の持ち主であるあの女性と日中手伝いに来る2人の3人だけとそんなに大きくはない。
そのため多くはここに住めないため、子供たちは新しい親に引き取られたり、良い年になって自立したりと色々だ。
先ほど、子供たちにからかわれていた彼の名前は 九アユム。アユムはここに住んでる中で一番年上で、幼いころ両親に連れてこられ、それ以来ここの住人だ。

「(あいつ等寝たかな…)」

食事を終え、風呂を済ませば、さっきの賑やかな声はどこへやら。必要ない所の電機が消えているリビングは、薄暗く小さな子供はきっと我慢できないだろう。
タオルで濡れている髪を拭きつつ、冷蔵庫の中から飲み物を取り出す。
ぐいっと一口飲み、ソファに深くもたれ一息つく。
目を瞑むれば、そのまま眠りにつきそうだ。

“なんだお前、またこんなとこで寝てんのか”

ふと、そんな声が聞こえた気がした。すぐさま辺りを見回すが誰もいない。
気のせいかと呟き、飲み物をまた冷蔵庫にしまう。
「疲れてんだろうな…」と思った彼は、戸締まりの確認をし、全ての電気を消した後、自室へ向かった。

中3からは個室に近い部屋をもらえる。今は中3がいないため、この部屋は彼だけのもの。
1人にしては広いこの部屋。彼はつまらなそうに溜め息を一つつき、眠りの中へ。


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