隣には君しかいない



私は今の席にそれはもう満足していた。
何故ならば!

「はい終了、では隣の席の人と交換しろー」
「はい、みょうじさん」

英語の授業。10分間の単語テストが終わり隣の席である赤司くんと用紙を交換する。そう、何故ならば赤司くんが隣の席だから!

手渡された赤司くんのテスト用紙を私が採点する。もちろん私のテスト用紙は赤司くんが採点するんだ。何てうはうはなルールなんだろう。

「みょうじさん惜しいね、一つだけペケがあった」
「うそー赤司くんは相変わらず満点だよ!すごいね」
「大したことないよ」

謙遜する赤司くんもかっこいいな。私が知る限り赤司くんはずっと満点だ。本当に頭良いんだなと改めて思う。「はい」と手渡された自分のテスト用紙は、本来帰宅したらすぐに捨てるところだが赤司くんに採点して貰ったものは特別保存行きであった。

様々な授業で「隣と〜」という指示をする先生達には感謝感激だった。

「そういえば次のホームルームは席替えだったね」

そう言ってきた赤司くんの言葉を聞くまでは。

「えっ…そうだったっけ?」
「みょうじさんと隣同士もこの時間で最後だね」

染み染み呟く赤司くんの横顔は何処と無く寂し気に見えるのは私の気のせいだろうか(否、気のせいじゃないはず!)「楽しかったよ」そう続けて微笑みまでサービスしてくれた赤司くんに私の心臓の寿命が少し縮んだ気がした。

「わ、私も!」
「それはよかった」

そして運命のホームルーム。
席順に教卓の前に置かれたくじを引きに行くというお約束のルールに、とうとう順番のやってきた私は心の中で赤司くんの名前を連呼しながらソレを引き上げる。

紙を広げれば、「4番」の番号。
微妙すぎる。いや主将である赤司くんの背番号だと考えて無理矢理テンションを上げる。っしゃー!

いざ、席移動の瞬間。
黒板に記された場所を確認しながら教科書の類を持って移動する。隣は誰なのだろうとドキドキしながら待っている中。

「やあ、また隣同士だねみょうじさん」

そう声がして振り向けばそこには4番と書かれた紙を手にした赤司くん。

「えっ、赤司くんも4番!?」
「そう、二度連続で隣がオレで申し訳ないけどまたよろしく」
「そ、そんな滅相もないよ!」

決して縁起の良い数字とは言えないが、私にとってはこの瞬間4番という数字が運命の数字に思えてならなかった。

「みょうじさん嬉しそうだね」
「そりゃもちろん!」
「クス、オレも嬉しいよ」

そう笑んだ赤司くんの横顔に思わず見惚れる。あれ?これってもしや脈有り?


131215






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