Happy Birthday



もうすぐやってくる、今年私にとって最大の二大イベント。
それは他でもない、クリスマスと彼氏である赤司征十郎の誕生日である!

が、私は未だプレゼントに頭を抱えていた。

「赤司っちの誕生日プレゼントっスか」

ので!
部活後、征がいない隙を見計らって屯っていたキセキの世代に聞いてみた。

「んー…あ!あれとかいいんじゃねースか、”私がプレゼント”的な!」
「うわー黄瀬ちん引くー」
「センス以前の問題ですね、ボクも引きました」
「な、何でっスか!嬉しくない!?」
「赤司くんを黄瀬くんと一緒にしないでください」
「赤司の誕生日のラッキーアイテムはどうだ。オレが調べてやるのだよ」
「…そんなんもらって喜ぶの緑間っちだけっスよ」
「うんうんー」
「同感です」
「なっ何だと!赤司ならおは朝占いのラッキーアイテムがいかに素晴らしい物なのか理解できるに違いないのだよ」
「はいはい」
「なんなのだよ…そのリアクションは…!」
「何だよ、何の話だ?」
「青峰っち」

青峰加入。

「青峰くんいいとこに!征の誕生日プレゼント何がいいかなってみんなに相談してたところなんだ」
「あーそいや赤司、今月20日だったな」
「まさかあの青峰くんが主将の誕生日を覚えてるとは」
「さつきに聞いたんだよ」
「むっくんは何がいいと思う?」
「んーおかしの詰め合わせとかー」
「(やっぱり)」
「あれでいいんじゃねーの、”私がプレゼント”的な」

………。

「うわー峰ちん引くー」
「黄瀬くんと青峰くんは同レベルですね」
「まったく、低レベルすぎなのだよ」
「ミドチンもねー」
「何だと!?」
「つか青峰っちなんかと同レベルなんて嫌っス!」
「あぁ?低レベルって何だよ、赤司だって男だろ!」
「ちょ!征を青峰くんや黄瀬くんと一緒にしないでよ!」
「話が進みませんね(ため息)」

相談、後半戦。

「ならもう王道でスポーツタオルとかどーっスか」
「黄瀬くん案にしてはまともですね」
「黒子っちひどッ!」
「テーピングはどうだ」
「だからもう自分の欲しい物で提案するのはいいっスよ、緑間っち」
「別に言ってないのだよ!オレは真剣に…」
「あーはいはい」
「……」
「リストバンドとかどうでしょう?」
「それテツの欲しいもんだろ」
「違います」
「赤司っちがリストバンド…うーん」
「似合わないのだよ」
「グラビア雑誌とかいいんじゃね」
「青峰くんはもう黙っててください」
「なんだと!?」
「手作りおかしとかいいんじゃないー?」
「来た!一番まともな案!」
「いいですね、それ」
「紫原っちナイス!」
「だが、赤司はあまり甘いものが得意ではなかった気がするのだよ」
「げ、まじっスか!」
「つかよ、彼女なのにそういうの知らねーとかお前ダメだな」
「うっ…」
「振り出しですね…」
「何だみんな集まって。何かの作戦会議かい?」
「わ!赤司っち!!」
「うんー赤ちんのたんじょむぐっ(口にまいう棒を突っ込まれる)」
「むっくんダメ!!」
「ちょ、紫っちアホっスか…」
「…もうすぐ下校時刻だぞ、談笑するのはいいが程々にしろ(何かを察した赤司)」
「危ない危ない…」
「(確実にバレましたね)」

結局キセキの世代に相談するもいい案はなく。征と帰り、途中で別れた後近場の雑貨屋に足を運ぶも時間だけが過ぎるだけ。

スポーツタオルとか、王道すぎるもんなあ。フラフラ歩き回る中、ふと目に止まった小さなバスケットボールのキーホルダー。

私がプレゼント、ラッキーアイテム、おかし、グラビア雑誌、テーピング、リストバンド…悩ますキーワードの中でこれは一番まともである。
それに、やっぱり征にはバスケが似合う。そう思ってキーホルダーを手にし、私はレジへと向かった。

翌日、12月20日。

「なまえっちー!」
「黄瀬くん、みんなも」
「これ、ボク達から赤司くんへの誕生日プレゼントです」
「え?」

そう黒子くんから手渡されたのは、クリスマス用に可愛くラッピングされた大きな袋だった。

「みんなって?」
「黄瀬ちんと黒ちんとミドチンと峰ちんとオレー」
「奮発してやったって赤司に伝えとけよな」
「結果がどうだったかオレに報告するよう、赤司に言っておいてくれ」
「(結果?)ならみんなで征に手渡しした方がいいんじゃない?」
「ボク達から渡すと、なんかあれなので…」
「頼んだっスなまえっち!」

なるほど、彼らもシャイなんだな。「わかった!みんなありがとうね!」そう言ってその大きな袋を両手で抱え込む。なんだかかなりバランスが悪く、ゴツゴツしてたり平べったかったり薄かったり小さかったりするものが入ってるみたいだが、一体何が入ってるんだろう…

部活後。

「征、お誕生日おめでとう」

気を使ってくれたのか、誰もいない更衣室でまずキセキの世代達からのプレゼントを征に手渡す。

「ありがとう、…やけに大きいね」
「それは黄瀬くん黒子くん青峰くん緑間くん、むっくんからだよ」
「そうか…みんなには気を使わせてしまったね」

嬉しそうに袋を開ける征に、私も好奇心で覗き込む。

「これは…」
「………」

征が最初に取り出したのは、裸同然のエッチなお姉さんが表紙の雑誌。呆然と見つめる征から咄嗟にソレを引ったくった。あのエロ峰め!次に出てきたのは、何かのアニメだろう女の子の萌えフィギュア。これも咄嗟に征からひったくった。まさか、ラッキーアイテム?緑間くん…!次はリストバンド。ああ、よかった。まともな物が…ってあれ?裏返して見たら「魔王」という文字の刺繍。征が気が付く前にと思ったが時既に遅し。黒子くん…征に恨みでもあるの?つかよくこんなリストバンド売ってたな!
次に大量のかりんとう。あ、甘そう…って、これむっくんからだよね?確か征があまり甘いものが得意じゃないって、あの時一緒に聞いてたよね…え、むっくんまで!?せめてまいう棒にしてよ。そして最後に出てきた紙きれ。よく見れば汚い字で「なまえっち引き換え券」と書かれてある。まさか、黄瀬くん…?何が引き換え券だ、残念すぎる。

「ご、ごめん征…これ全部返品しとくから!特にこの雑誌とか!」
「いや、いいよ。それよりもなまえからのプレゼントはないのか?」
「あ、うん…」

自信はない。しょぼいと言えばしょぼい。
恐る恐る鞄から取り出した可愛くラッピングが施された袋を征に手渡すと「ありがとう」と嬉しそうに笑んだ。

「これは…」
「しょぼくてごめんね、でも征って言ったらやっぱりバスケかなって思って」

まじまじとキーホルダーを見つめた後、征は黙ってそれをエナメルバッグに付けてはまた笑った。

「ありがとう、なまえらしい物で嬉しいよ」
「征…」
「そろそろ帰ろうか」
「うん!」

立ち上がりエナメルバッグを肩にかけると、征は私の手を握る。それに私も握り返して二人で更衣室を後にした。

「征、生まれてきてくれてありがとう」
「…ああ」


Happy Birthday Dear Seijuro!
(131220)





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