最後の別れはしないで
「ヒサギ!! キミには夢があるといった…その夢…かなえろ!」
そう言うと悲しそうな笑みを浮かべる。
「サヨナラ……」
「ちょ、まっ…! N!」
レシラムに乗ろうとしたNの服の袖を掴む。
「!!?」
「こんな別れって…ないよっ…それにっ…私は夢があるとか言ってないんだけど!」
「え……あれ…?」
「もしかして…ショウマとの会話が混ざってるんじゃないでしょうね?」
「あ…」
しまった…と言う顔をするN。
「ふざけないでよ!」
「いや…でも…」
「次、絶対会うって約束するまで離さないんだから!」
絶対に、絶対に。
「ヒサギ…」
Nはそっとヒサギの手を握る。
「分かった…約束するよ」
「その言葉、嘘だったらフルボッコだから」
そう言うと、ヒサギは堪えていた涙を流した。
「(フルボッコってポケモン? それともボクのこと…?)」
ぐしっ、と袖で涙を拭うと、精一杯笑みを浮かべた。
「好きだよ…N…」
そっとNの服から手を離す。
「!!!」
「最後の別れみたいにサヨナラなんて言わないで。最後じゃない、次がある」
だから、口にするのはこの言葉。
「またね!」
耐え切れず、また涙を流しながら、にっこりと笑った。
それにNは帽子を深く被る。
口元だけ見えると、それは笑みを浮かべていた。
そしてNはレシラムに乗って綺麗な空を飛び去った。
「返事は無しかよ…Nのばか…」
最後の別れはしないで
(また会うと無理矢理な約束をして)
2011.10.04
：
back ：