おにごっこ | ナノ
モヤモヤする

「ファントムー? 今大丈夫?」

「ん? どうしたの?」

「実は、ちょっと殺されかけたから相手を殺しちゃったんだ。その報告と、処理をお願いしたいの」

「困るなぁ…あんまり仲間内での殺し合いは」

「ごめんなさい…」

まぁいいよ、と快く承諾してくれたファントムに、アオイはお礼を言う。

「じゃあ交換条件として、アザミを落とす方法を教えてくれないかな?」

「それとこれとは別よ。教えたらつまらないでしょ?」

だから私は二人を見守るの。

「元より、ファントムとお姉ちゃんが付き合おうと別れようと、私には関係ないしね」

「じゃあペタを落とす方法は知らなくてもいいのかい?」

「知らなくていい。今が、とても楽しいの」

そう言ってアオイは笑った。


そんな二人の様子を、少し離れたところで見ている人物がいた。

紛れも無く、アオイの姉のアザミだった。

「(仲良さそう……あんなに笑って…)」

未だスッキリしない胸の中が、さらに苦しくなっていく気がした。

「(もしかして私…ファントムが好きだなんてこと…)」

そんなの、あるわけない。

絶対に、あり得ない。

だって私は、あんなにもファントム鬱陶しがっていて、あんなにも嫌っていたのに。

「嫌って…いたの…?」

私はそこまで、ファントムが嫌いだったの?

よく考えてみれば、嫌いなら攻撃くらいできたのに。

私はただ、拒み続けてきただけ。

「あ…ディアナからの伝言、どうしよ」

どうにも中に入るタイミングを完全に見失った。

「(馬鹿か…私は…)」

一人でこんなにモヤモヤして、妹であるアオイとファントムが仲良くしてるだけで悩んだりして。

元々アオイはファントムには好意的だったわけだし、別に不思議なことではないじゃない。

ただ、アオイはずっとペタのことを追いかけていたから、最近ファントムとやけに仲が良いことに、違和感を感じてるだけなのよ。

「(きっと、そうなんだわ)」

そうやって、思い込もうとした。



モヤモヤする追いかけっこ


2011.12.16

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