噂される
「どういうことなのよ!?」
とキャンディスがアオイの両肩を掴み、迫ってくる。
「すげー噂広まってるぜ」
とハロウィンが傍で笑いながら眺める。
「歳が離れすぎているから俺は賛成できないなぁ…」
とアッシュは腕を組みながら真剣に考える。
「どちらでも構わん」
とガリアンはどうでも良さそうに言う。
「間違ってるから」
とアオイは少し引きながら言った。
その場に集まったナイト六人とビショップ一人。
噂を聞きつけたキャンディス、ハロウィン、アッシュ、ガリアン、噂を流したロラン、流されたファントムに、ビショップのアオイ。
「アオイがファントムをそんなに好きだなんて知らなかったわ! どうして言ってくれないのよ!」
「いやだから…」
「アオイも有名人になったな。ヒュヒュ」
「なりたくなかったよ!」
「いや、やっぱり駄目だよ。ファントムなんてアオイから見たらおじさんじゃないか」
「アッシュ、それはどういう意味かな? ん?」
「ファントムは黙ってて。こんがらがる」
「みなさん、落ち着いてください…!」
と、アオイに迫るみんなに、噂を流した張本人が止めに入った。
それをチャンスと言わんばかりに、アオイはしっかりと誤解だと伝える。
「あれは、ファントムとただ恋愛について話してただけで、私が好きって言ったのはペタのことよ」
そう言うと、みんなは「なーんだ」という雰囲気で落ち着き始める。
「それもそうよね。アオイはずっとペタが好きって言いながら廊下走ってペタを追いかけてたんだし」
「いきなりファントムが好きっていうのも無いよなぁ」
「でも俺はペタでも歳離れすぎてる気がするんだよなぁ…アオイまだ10代だろ?」
誤解が解けたら解けたで、結局アッシュにはうるさいこと言われてしまう。
それをスルーして、申し訳なさそうな顔をしているロランに向いた。
「噂広めたのはロランなんだから、責任もって訂正しておいてよね」
「す、すみません…ぼ、僕の勘違いで……」
「本当…そう言うのはちゃんと本人に確認してからにしてほしいわ。そもそもロランって噂流すタイプだっけ?」
「いえ…僕はうっかりハロウィンさんに話してしまったら、いつの間にか…」
ロランとアオイはハロウィンの方へを向く。
「トマトお前のせいか!!」
「まぁまぁ、アオイ。人の噂も85日って言うし、大丈夫だよ」
「ファントム、それ10日多い。正しくは75日ね」
噂される追いかけっこ2011.12.21
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