おにごっこ | ナノ
理由

折角ペタの手伝いをしていたと言うのに、ファントムに呼び出しをくらった。

ペタと会う前に会っていたのだから、用件があるならその時言えばよかったのに。

そう思いながらファントムの部屋にやってくると、ファントムは微笑んでから口を開いた。

「僕たち、協力し合わない?」

「…また、突拍子もないこと言うね」

「お互い追いかける側だろ? それぞれの情報を交換するんじゃなく、どう動こうか相談するのさ」

「そもそもファントムって、そんなにお姉ちゃんのこと好きなの?」

根本的なことを今更ながらに問うてみた。

「好きだよ。出会った時からね」

「私は、お姉ちゃんと一緒にチェスに入ったわけじゃないから、全然分からないよ」

私がチェスに入って、暫くしてから姉と再会した時既に、彼は姉を追いかけていたのだ。

吃驚するくらいに、その自身の出せる限りの愛を姉に送っていたのだ。

「アザミはとても魅力的だよ。僕はクイーン以上に美しい人間を見ることは無いと思ってるけどね」

「え、いきなりそっちの話になるの?」

「今もそう思っているし、美しさならクイーンの方が勝るさ。でも、アザミには違った魅力があったんだ」

「何か恥ずかしい。妹としてすごく恥ずかしい」

「なんて言えばいいんだろう…クイーンが美しいなら、アザミは可愛いかな?」

「もう黙って、ファントム」

このまま止まらないかもしれない、と思って何とかファントムの語りを止めた。

「そう言うアオイこそ、なんでそんなにペタのこと好きなのさ?」

今度はファントムがアオイに問う。

「えっと…仕事に一生懸命なところとか、ファントム一筋なところとか、仕事してる時の仕草とか、ペタそのものとか、その他全部」

「…途中、なんかとっても誤解を生みそうなこと言ったね…」

アオイは自分で語りだしたら止まらないことを自覚しているのか、簡潔に且つ伝えたいことを確実に伝えた。

「とにかく、好きよ。とっても。他の誰にも、何にも代えられないくらいに、好きなの」

「君にそんな笑顔を浮かべさせるなんて、愛されてるね」


そんな二人を、影からこっそり見ている人物がいた。

それは、ファントムと何かお喋りをしたいと思いやってきたロランだった。

「(ああああ…アオイはペタさんのことが好きだと思っていたのにファントムに好きだなんて…!)」

ガタガタと落ち着かない様子のロラン。

「こ、これは…大変です…!」

そしてあっという間に噂は広まった。



追いかけっこの理由


理由と言う理由は言ってない気がするけども…。

2011.12.18

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -