偽り少女 | ナノ
そして少女は笑った
これは、今現在のお話。


この世界の人間と、異世界の人間の間に生まれた一人の女。

女はこの世界の人間に恋をした。


でも実る実らないなど考えることは無かった。


女の気持ちは、女と仲良くしていた人間は殆ど知っていたし、恋をした男にも伝えていたから。

実るならそうなるだろうし、実らないなら仕方ないと言う気持ちだった。


けれど女は、その男が好きで好きで仕方なかった。

そう言う気持ちだったのは、彼が人を寄りつけない雰囲気を作っていたから安心していたのだ。

実際、男が彼女を作ることも、女と仲良くするところも見たことが無い。

彼は、彼が信じ忠誠を誓う人間にだけ従い、日々忙しなく仕事をこなしていたのだ。


女はそんな男を好きになった。

男もまた女に魅かれていた。

しかしお互いに、積極的になることは無かった。


女の「好き」と言う言葉を信じない男。

男と共にいるだけで幸せを感じる女。


そんな関係に、二人は甘えていたのだ。


そしてある時、女は自分の正体を明かした。

男は驚いたが、自分の気持ちが変わることはなかった。

ある日男が従っている人間に、女を呼んでこいと言われその通り行動した。

中庭にいた女の横顔に、思わず見惚れ、男は女にこう告げる。


「私はお前が好きなんだろうな」


女は驚き、目を見開く。

そして口を開き、こう言った。


「私はもっと前から、もっともっとペタのこと好きだったよ」


女の体には異世界人の血が半分流れている。

男はそんなことなど、気にもならない程に、女を愛しているのだ。

女も自分の体を気にしてはいるものの、男を愛している事実は変えようとも変えられないのだ。


時を刻み、彼らは戦いの場に出るが、それはまた別の話。


end


2011.09.13

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